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Activity Report活動報告

活動報告 ― お知らせ ―

2024.06.26

多古町で「優秀な子ではなく、最高な子になる教育」をテーマに講演(ASJ理事長:小針一浩)

2024年6月23日、オルタナティブスクール・ジャパン(ASJ)理事長の小針一浩が、千葉県香取郡多古町にて、「優秀な子ではなく、最高な子になる教育」をテーマに講演を行いました。

町の有志によって企画された講演会でしたが、多古町の町長、教育長、市議会議員、役所職員、地域の保護者に加え、他県からオルタナティブスクールを開校したいと考える人が、課題図書の『2050年を生き抜く子を育てる「もうひとつの学校」』を読んで集まりました。

50人ほどの参加者から事前に寄せられた質問をもとに、全体がスムーズに流れるようにつくられた講演では、小針の自己紹介と湘南ホクレア学園を創設した理由からはじまり、「多様性を尊重する社会におけるオルタナティブスクールの必要性」、「湘南ホクレア学園が実践する未来を生き抜くための学び」、「オルタナティブスクールのつくり方」、「地方自治体とオルタナティブスクールの共創の提案」など、2時間の中にたくさんの内容を詰め込んだものになりました。

不登校を防ぐことはできない

教育者からは「不登校を防ぐには?」という質問が挙げられていたが、小針の答えは「不登校を防ぐことはできない」というものでした。なぜなら、それは「教育機会確保法の基本理念に『すべての子どもが安心して教育を受けられる学校環境の確保』と謳われているけれども、そもそも個性を持った子どもたちをすべて1箇所に通わせるというのに無理があります。また、不登校は本人の意思であり、多様性を尊重する社会にあって、それも1つの個性と考えてあげて欲しい」と。一方で、「不登校だったとしても、学習機会の損失は防ぐことはできる」と答え、自分の興味を引き出してくれて、自分のペースで学べるオンライン学習教材を使うことや、自分で自分の学びを決めることができるオルタナティブスクールに通うといった選択肢を検討してみて欲しいと話しました。

人生100年時代の進学のロードマップ

「オルタナティブスクールを卒業した子どもたちの進学先は?」という保護者からの質問に対して、「オルタナティブスクールは内申書をつける権限がないので、オルタナティブスクールに通う子どもたちは内申書をもらえません。そのため、現状のルールでは一般の高等学校に進学するのは難しいです。しかし、大学は実力があれば入れるので、高等部もオルタナティブスクールに通い、10代で起業など社会経験をしながら大学受験資格を得て、大学に入る頃には経済的な自立を目指したいです」と。また、その頃にはオンライン大学も一般化していて、大学のキャンパスに行かなくても、世界中の有名教授の講義を誰もがサブスクで受講できる時代になっているはずですと付け加えました。

教員でなくても教育カリキュラムはつくれる

「教育カリキュラムを考える際に、
何からスタートすれば良いですか?」という保護者からの質問に対して、以下の順で進めてみてくださいと小針は答えます。

【1】 教育目標の設定
どのように育ってほしいか「建学の精神」と「ビジョン」を明確にする。

〈湘南ホクレア学園の例〉
・建学の精神:どんな世界でもサバイブする子を育てる!
・Vision:世界中に仲間をつくる
・Will:自分で決める / Principle:リミッターを外す

【2】教育内容の選定
スクールの独自性で教育内容を決める。日本で売っているテキストブックやドリル、学習アプリは基本的に学習指導要領に準拠しているので、学習指導要領を意識しなくてもそれらを使えば外れることはない。

〈湘南ホクレア学園の例〉
・コミュニケーションスキル
:国語・英語・算数に力をいれる。理科と社会は興味関心を持つだけでOK
・起業スキル:
マーケティング/ブランディング、広告/宣伝、仕入/販売、会計、経営などを事業運営しながら身につける
・アウトドアスキル:
体育で自然と触れ、自然の表裏を知り、自然を守れる側に立つ学びをする

【3】教材の選定と作成
教育内容に基づいて、適切な教材を選定する。デジタル教材を活用したり、「これ!」というものがなければオリジナル教材を作成する。

湘南ホクレア学園の例:
・英語学習アプリ、算数学習アプリ
・市販のテキストブックとドリル
・オリジナル教材や個別教材 など

【4】教育方法の計画
各教科ごとに、どのような教育方法を用いるかを計画する。

〈湘南ホクレア学園の例〉
・個別自立学習:国語、英語、算数(数学)
・チーム学習:多言語、音楽、図画工作、家庭科、社会
・アウトドア体育:体育、理科、社会
・クラブ活動:起業スキル、コミュニケーションスキル

5. 学習評価の方法
生徒の学習成果をどのように評価するかを決めます。
・ホクレアでは、得手不得手というインテリジェンスと好き嫌いについて理解はするが、学習評価は必要ないと考えているので、実施していない。

6. 時間割の作成
科目別で授業時間をどのように配分するかを決めます。

〈湘南ホクレア学園の例〉
・AM:ワークタイム(個別自立学習)
・PM:プロジェクトタイム(チーム学習)
・放課後:クラブ活動
・木曜日:アウトドア体育

7. 実施とフィードバック
作成したカリキュラムを実施し、その効果を定期的に評価します。
・ホクレアでは、保護者からの要望やフィードバックでカリキュラムの内容の変更は検討するようにしています。

「優秀な子」と「最高の自分」

最後に講演者の小針から会場の参加者に「学びをとおして自分の子どもに『優秀な子』と『最高の自分』のどちらになってもらいたいですか?」という問いが投げかけられた。

・優秀な子:社会の価値観を信じて、社会から評価される、人からうらやまれる子
・最高の自分:自分を信じて、自分で決めて、自分で責任を取って、自分自身を生きる子

「子どもたちはダイヤの原石」だから、これからの教育が「優秀な子になるのではなく、最高の自分になるための教育」へと変わっていくことを期待しているし、自らも積極的に活動していくと話して締めくくりました。

今後の活動に向けて

オルタナティブスクール・ジャパンは、多様な教育プログラムを提供し、子どもたちが自らの未来を切り開く力を育てるオルタナティブスクールの立ち上げや経営の支援を行っていきます。

オルタナティブスクール・ジャパンの支援プログラムにご関心のある方や、取材・講演のお申込みについては、こちらよりご連絡ください。

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